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episode14:太陽が消えた日[08]

  1. 武士「昔のこと思い出してさ」「昔、俺が交通事故で死にかけた時、母親が泣きながら誤ってたこと」武士母※回想「ごめんね武士。お母さん、塾の入り口まで迎えに行けばよかった。そしたらこんな事故に遭わずに済んだのに」武士「その頃は、理由とか全然わかんなかったけど……でも、死にかけた立場から言わせてもらうと」「仮にお母さんのこと、おまえが言ったみたいに防げたかもしれなかったとして」
  2. 武士「それでもお母さん、おまえのこと、恨んだり責めたりしないと思うぜ」圭太※康文の回想「いいか康文。おまえのせいじゃないよ」康文「…わかってる」「わかってるよ、そんなこと」
  3. 武士「そっか、ならいい…」康文「それはそうと」「その事故に遭うまで、県内で上位10人の超優等生だったって聞いたけど?」武士「へっ?」「なっ、何だよいきなり…。そんなん大昔の話だっての」康文「本当なんだ?」「今度聞きたいね、そこからどうやって立ち直ったのか」
  4. 武士「いいけど」「別にそんな大した話じゃないぜ?」孝弘「…っんだよ。忌引き!どうしたよ!?」康文「通夜まで日にちあるし、暇だなって。制服も要るし」
  5. 薫「ついさっきまで、武士くんと美咲さんが来てたのに…」康文「そこのコンビニで会いました」孝弘「あ、そうだ」「預かってるぜ、2人からの土産」孝弘「何かな何かな〜」康文「は?」「ここで開けろって?」あかね「見たーい」薫「何でしょうねえ〜」孝弘「おお、シーサーだ」薫「きれいですねえ〜」あかね「康文には可愛すぎない?」
  6. 孝弘「2人なりに考えたんだぜ、きっと。シーサーは沖縄の守り神だからな。悪を寄せ付けず、来た福を逃さず」〈悪いことが重なりませんように。悲しみが和らぎますように。温かい出来事が起こりますように〉武士※康文の回想「実際は美咲がいろいろ考えて選んでさ」康文「………」
  7. 圭太※電話「………で、どんな様子かな、康文は」孝弘「びっくりするくらい以前と変わらず、です」「毎日きちんと学校行って、毎晩追い出すまで仕事してます」圭太※電話「あの子らしいね」
  8. 孝弘※電話「……圭太さん」圭太「うん?」孝弘※電話「あいつ、綾音さんが死んだら自分のせいだと言ったんだそうです。武士に」圭太「………そっか…」孝弘「……俺、少し安心したんです」
  9. 孝弘「そういうこと、今までのあいつなら、絶対口にしません。今は言える相手がいるんだなって」圭太「………」孝弘「大丈夫です。きっと」圭太※電話「…そうだね」ーepisode14:「太陽が消えた日」fin.ー

というわけで、episode14:太陽が消えた日、最後までお読みいただきありがとうございました。

タイトル「太陽が消えた日」は康文目線のもので、太陽=母親、です。
「沈んだ」とはせず「消えた」としたのは、こんなふうに誰かを失うのは、じわじわと暗くなるというより、急に暗くなる感じなのかもしれないと思ったところからです。

山口家は、今でこそ康文はあんな感じですが、ごくごく普通の、普通以上に子どもに愛情を注いだ家庭だったと思うので、そういう家庭の子どもが高校生で親をなくすってしんどいだろうなあ…と思いながら描きました。ごめんな、康文。

次のepisode15は、第三者視点の康文(中学生)の昔話です。
少しだけ若いあのひと(大人の3年前ってほとんど見た目が変わらない)が主役を張ります。

サラリーマンをしながらなので、描き上げるのに年単位で時間がかかると思いますが、気を長くして、暖かく見守っていただけますと幸いです。

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