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episode15:スターゲイザー[02]

  1. 康文「父から聞きました」「よく引き受けましたね、中学生のお守りなんて」圭太「康文」「そんなつもりで孝弘くんを勧誘(スカウト)したんじゃないよ」康文「じゃあなんで、僕の所属してる支部に配属なの?偶然?」圭太「そう偶然」康文「西島さんと組んで仕事することで、僕の勤務日数は増やせるの?」圭太「増やせません」康文「じゃあ僕が入らない日は、西島さんどうするの?」
  2. 康文「研究期間中は僕と一緒に業務につくんだよね?僕にシフト合わせたら週3だよ。他の2日は、違う人と組むってこと?」圭太「言わなかったっけ。孝弘くんは仮入組だって」「だから研修というより職場体験かな」康文「なんだ、そういうことか」「30歳越したら体力的に不安あるもんね。入ってみたけどすぐ音を上げて辞めるパターン」圭太「康文、失礼だぞ。孝弘くんはまだ20代なんだから」孝弘「………」
  3. 圭太「昔は素直だったんだけどなあ」「虫も殺せないような優しい子で」「ほんっっとめちゃくちゃ可愛かったんだよ。あの頃言ってた『お父さん大好き!』とか録っとけばよかった。残ってたら着ボイスにするのになあああ」「あーなんでこうなったのかなあ…」孝弘「単に反抗期でしょう?中学2年生って、そういう年頃じゃないですか」
  4. 圭太「反抗期なんて生優しいもんじゃないよ。見ただろ?あの可愛げのなさ」孝弘「(悩んだり、デレたり、愚痴ったり、忙しい人だな…)」圭太「クチもますます達者でさあ」「高校に進学するように説得してた時も…」康文※回想「父さん昔、言ってたよね。勉強はとても贅沢なことだって」「貧しい家や国に生まれて、勉強したくてもできない子が世界にどれだけいるかって」「義務教育は中学までって国が決めてるんだから、高校から先は贅沢ってことでしょ?」「したくもない贅沢、する必要ないと思うけど?」
  5. 圭太「いっちいち揚げ足取りするんだよねー」孝弘「(………)」〈中学卒業後、高校へは進学せずに支部所長としてI.P.P.A.で働きたい康文くんと、I.P.P.A.での仕事を辞めさせて、普通に進学して欲しい圭太さん〉孝弘「でも…」「どうしてそんなに急ぐんでしょうね?」圭太「それがよくわからないんだよね。『試験受かった』『もう決めた』の一点張りでさ」「………」「I.P.P.A.のことは妻がきっかけだったんだ。妻の話はしたよね?」孝弘「…はい」
  6. 圭太「直後はとても不安定でね」「必死で言い聞かせたよ。康文(あのこ)のせいじゃないって」「日が経つにつれて落ち着いたけど、考え事をしていることが多くなって」「ちゃんと学校に行くし、食事もするんだけど、でもどこか上の空っていうか」「そしたら、ある日突然言ったんだよ」
  7. 康文※回想「お父さん」「僕、I.P.P.A.のお手伝いがしたい」圭太「それで少しでも元気になるならって、つい上層部(うえ)に話して手配しちゃったんだよね」「確かに僕は、I.P.P.A.入組に手を貸したよ。でも」「本腰入れていいなんてひとことも言ってない!僕が許可したのはあくまで『手伝い』!!」
  8. 圭太「わかってるよ、親のエゴだって。でも、ひととおり学校通った後でもいいじゃん。別に勉強できないわけじゃないし、たぶん嫌いでもないはずだ。僕の子だもん」「…たまに考えるんだ。将来、妻が目覚めた時、本人が望んだことだとはいえ、自分のことがきっかけで進学しなかったことを知ったら、どう思うだろうって」孝弘「………」圭太「僕には責任がある。妻に託されているんだ、康文(あのこ)を」

5/8未明、8枚目上げました。やった。
episode15:スターゲイザー[02]、ご覧いただきありがとうございました。
親には親の言い分があるんですよね。人生経験あるだけに、見渡せる/見透せる範囲も広いけど、それが逆に足枷になっていたりもするパターンもありますが。
さて、子の言い分は…?

[03]はすぐに描き始めるのですが、自宅待機が緩和されて、出稼ぎ(生活費を得るためのお勤め)が始まりそうな予感がするので、さらにスローペース更新になります。気長にお待ちいただけますと幸いです。

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